34歳美容師、全力で不妊に抗ってみた。

早発閉経の治療をしてきた過去を振り返る。

浮かれすぎてた初の採卵日

そしてやっと訪れた採卵の日。

 

結論からいうと、空胞でした。

 

 

 

4回も病院で内診して血液検査をして、育てて育ててようやっとこぎつけた採卵だったのに、中身は空っぽ。

 

 神妙な面持ちをした先生がとても言いづらそうに話していた光景を、今でもかなり鮮明に覚えています。

 



前日まではわりと楽観的に考えていて、排卵まではまぁ時間がかかったものの、体外受精をすれば簡単に妊娠出来るものと思い込んでいました。

 

なので『空胞』の二文字を聞かされる直前まで、馬鹿な私はウキウキとさえしていたんです。

 

当然すぐには頭に入ってこなくて、変な微笑を浮かべたまましばらく固まっていたと思います。

 

 

 

くうほう…クウホウ…

 

空砲…?

 

それってあれ、大砲を空のまま打つやつのことでは…?

 

字が違う、たぶん違う…

 

…空胞!!空胞だ!!

 

 

といった感じで唐突に現実を理解した私は、初めて病気が分かった時と同じように、また呆然としていたと思います。

 

 

あまりに期待をし過ぎていたため、崖から突き落とされた感は半端ではありませんでした。

 

心臓のあたりがギュッと痛くなって、息苦しさを感じ、そのままぶっ倒れるんじゃないかと思ったほどです。

 

そしてまた例によって先生の話をちゃんと聞ける状態ではなくなっていた私は、とりあえず最低限のことだけを理解して帰路についたのでした。

 

 

 

簡単にまとめると、おそらくこんな内容だったはずです。

 

・卵胞は空胞で、中身は無かったということ

・またそれは特に珍しいことではないということ

・ここの病院での治療では専門医がいないので難しいため、大学病院への転院を勧めるということ

 

 

今考えると色々と大人の事情(その病院は定額制だったからとか、成功率の悪そうな患者は病院の成績を下げるから排除したいとか)

も少なからずあったのではと思いますが、当時は落ち着いて分析出来るほどの冷静さを完全に欠いていました。

 

 

というわけで、初めての採卵は失敗に終わり、次は大学病院での治療を開始するのでした。

 

 

 

 

タイムリミットについて

前回までの話で、重要なことを書き忘れていました。

 

私は早発閉経で卵子の数は残り少ないのですが、当時はまだ薬を使えば排卵出来る状態だったのです。

 

クロミッドの服用とエストラーナテープを貼ることが多かったです。

 

それで一応ギリギリ卵胞が1つ(まれに2つ)見えていました。

 

早発閉経の患者さんの中には、気がついた時にはもう手遅れで薬も効かないような方もいるようなので、私はまだラッキーだったのかもしれません。

 

 

それをラッキーと考えるか、むしろ逆に完全に排卵出来なくなって閉店ガラガラの状態のほうが良かったと考えるのか、のちにすごく葛藤した時期があったのですが…

 

その話はもう少し後にまとめることにします。

 

ひとまずこの時点では、終了のタイムリミットまで全力で走り抜けることだけを考えていました。

 

そのお陰で今は悔いはないと思えているのですから、色々な選択を間違えなくて良かったです。

 

 

 

 

採卵までの長すぎる道程

長かった…本当にすごく長く感じました。

 

2回目以降は自分の排卵までのスローペースを理解していたのでそこまで長くは感じなかったのですが、初めての時は本当に長かったです。

 

採卵の予定をたてるために、4回は内診と血液検査をやりました。

 

普通は14日前後で排卵なんでしょうけど、私の場合は4週間以上かかるということが分かったのです。

 

そして恐ろしいことに、それまでのタイミング療法ではその事実にまったく気がつけなかったのです…

 

 

なぜなら、当時通っていた産婦人科での内診は、非常に曖昧でしたから。

先生とのやり取りを思い返すと、だいたい毎回こうです。

 

 

先生「う~ん、卵胞見えないね~。またガス溜まってるんじゃないかな?たぶんそれで見えないんだね」

↑いつも笑顔でおっとり。診察の内容はさておき、とても親切な先生でした

 

私「はぁ…ガスは基本いつも溜まってます…はい」

 

先生「たぶん排卵期だと思うからタイミングとって大丈夫ですよ」

 

私(たぶんって…。先生ってばいつもテンプレートでもあるかのように同じことしか言わないのよね…。まぁ毎回必ず屁を溜めてしまっている私がいけないわけだけど…)

↑全部心の声

 

という感じで、もやっとした診察のちタイミングという流れだったので、まったく検討外れだったということになります今考えると。

 

そしてそこの病院では内診だけで、血液検査をやらない方針だったこともきっと良くなかったんですね。

 

 

でもその頃の私はまったくといっていいほど不妊治療の知識がなくて、こんなもんかと悠長に構えていました。

 

馬鹿ですね…どう考えても馬鹿でしかないです。

ネットでちょっと調べれば色々と分かる時代なのに、途中から挫折して詳しく調べなかったわけですから。

 

全面的に医者を信用していたってこともありますけど。

 

でもまぁ教訓にはなりました。

何事も自分から調べたり動いたりすることが大切ですね。

 

そんなこんなで、やっと待ちに待った初めての採卵の日が訪れるのでした。

 

 

 

 

とりあえず人工受精でお茶を濁す

検査結果の時のオコ先生によると(以降あの先生のことは怒先生=オコ先生と呼ぶことにします。もう出番ないかもしれないけど…)

 

・とにかく時間がない

卵子の質も悪いから体外受精にしない限り妊娠は無理(この説の信憑性は微妙ということが後々発覚)

 

ということだったので、人工受精はすっ飛ばし、最初から体外受精に挑もうと決めていました。

 

とはいえその病院では、セミナーを受けないと体外受精に進めないという決まりがあったので、とりあえず一度だけ人工受精でお茶を濁してからのステップアップになりました。

 

本当はそんなことをしている時間も惜しかったのですが、決まりですから仕方ないです。

 

そもそも初動の段階でモタついていた自分が悪いですからね。

 

 

そして初めての人工受精なんですが、これがまた何ともあっけないというか…一瞬にして終わるんですね。

 

診察台に上がってものの数秒で「はい、もういいですよ」って感じで。

こんな数秒の作業なのに何万ものお金がかかるんだからびっくりですよ。

 

まぁ仕方ないですけどね、保険外ということは分かっててやってるんですから。

 

もちろん結果はかすりもせずリセットで、次は当初の予定通り体外受精に挑むのでした。

なぜか激怒の病気宣告

血液検査と卵管造影の検査結果を聞きに行った日の出来事です。

 

そこの病院は担当の先生が決まってはおらず、順番で色々な先生に診察してもらうシステムでした。

 

特にこだわりのない私は、どんなタイプの先生でも特に感想をもたなかったのですが、その日は違いました。

 

診察室に通されてから、覚えている限りの先生とのやり取りはこうです。

 

 

先生「卵管は通ってるので問題ないっすね~」

↑無表情…というかむしろ不機嫌。一方的に早口で結果を話始める

 

私「…はぁ、そうですか」

 

先生「卵子の残りを表すAMHがすごい低くて0.01ですね。45歳以上の人と同じくらいってことになります!」

↑不機嫌…というかむしろ怒ってる?

 

 

私「…ん?」

↑突然過ぎて理解がまったく追い付いてない

 

 

先生「いや、むしろもうこれ50歳越えちゃってますよ!閉経!閉経ってやつです」

↑怒ってるっていうかむしろ激怒…?

 

 

私(ちょちょ、ちょっと待って、今何で年齢のとこ言い換えたの?別に45歳のままでもよくない?てゆうかこの人なんで怒ってるの??)

↑全部心の声

状況を把握しようと頭をフル回転させて考えてみたものの、結果よりも先生の『親の仇ですか』と問いたくなるような態度にびっくりして声が出ない

 

いや、でもむしろサラッとスパッと宣告してくださったお陰で、衝撃はかなり半減したのは確か

 

 

 

覚えているのはここまでで、その後診察室を出るまでの間の出来事は、なぜかキレイさっぱり忘れてしまいました。 

 

おそらく色々な意味で呆然としていたので、頭に入ってこなかったんだと思います。

 

 

それから呆けたまま会計を済ませ、病院を後にしました。

そして外に出て歩いているうちに、ぼんやりした頭が冬の冷気に冷やされて、検査結果があまりに悲惨なものだったことを理解し始めました。

 

急激に悲しみが押し寄せてきて、溢れだした涙はしばらく止まってはくれず、いい大人がしゃくり上げながら泣いていたのを覚えています。

 

後になってから思ったのは、あんな風に怒りをぶつけられるように病気を宣告されたのは逆に良かったのかもしれないです。

 

お陰さまで少なくとも病院の中で泣かなくて済みました。

 

なんでひどく不機嫌だったのか、そこは永遠の謎ですけどね。忙しくてイライラしてたんでしょうか。

わかります…私も接客業だからすごくわかりますよ。嫌ですよね(医者は接客業?)

 

まぁそんな感じで出し抜けに早発閉経と宣告された私は、この後保険外の治療へとステップアップしていくのでした。

 

「生産性がない」という心無い文言

最近よくテレビやらネットニュースやらで見かける「生産性がない」という流行り文句。

 

子供を作らない夫婦や、同性同士のカップルなんかのことを指してうまいこと言っている気になっているようですが…

 

なんて想像力の欠乏した脳ミソなんでしょう

 

もちろん思想自体は本人の自由ですから何を思っていようと構いませんが、わざわざ人前で偉そうに言うようなことでしょうか?

 

おそらく彼らは、わらわらと子孫を増やしていくことこそが人間の生きる意味だと、こうおっしゃりたいのでしょう。

 

 

まぁ真意はどうでもいいです。

正しいのか間違っているのか、ということでもないでしょうし、むしろそれもどうでもいいことだと思っています。

 

 

でもこれだけは絶対に言いたい。

「生産性がない」発言は完全に言葉の暴力です。

 

実際私も初めてネットニュースで見つけた時は、人として全否定されたような気持ちになりました。

子を成さなければ生きる意味すらも問われるのかと、怒りすら覚えたほどでず。

 

私だけでなく他にも絶対に傷ついている人達はたくさんいるはずです。

 

きっとそんな発言をする人達は、まわりが見えていないんですね。

何だかかわいそうにすら思えてきました。

 

つまり何が言いたいのかというと

「生産性がない」発言をしている彼らは、とても発想が貧困で想像力が欠乏していて、私たちとは別次元の住人なのです。

 

よって我々は、彼らの言葉にいちいち傷つくことも憤る必要もないはずです。

 

またいつかニュースでその文言を見かけるようなことがあったら

「あぁ、なんてかわいそうな人なんでしょう…」と笑顔で見下しましょう。

卵管造影という手荒い歓迎に気絶

不妊治療専門の病院で始めに受けた検査はというと、各種血液検査と、あの痛すぎると有名な卵管造影です。

この通過儀礼を受けないと患者仲間に入れてもらえないような暗黙のルール的な空気を感じて、まさか「嫌です受けません」とは言えませんでした。

 

ええ、もちろん重要な検査ですからね、当然受けるべきなのは分かっていましたよ。

 

とはいえ検査の日を待つまでの期間、経験者様のブログを読んではひとりガタガタと震えていました。

 

ほとんどの方が「痛すぎて叫びました」とか「すぐには起き上がれませんでした」なんて恐ろしいこと書いていらっしゃるのですから。

 

痛みには強い自信はあるとはいえ、さすがに恐ろしさは募る一方でした。

 

なら検索しなければいいではないかと思われるかもしれませんが、不思議と人間ってこわいものを指の隙間からチラ見する習性があるようです…

 

まぁそんな話はどうでもよくて…検査当日の話に戻しますね。

 

心を無にして診察台に上がった私は、衝撃的すぎる痛みに気絶しました。

その時間はおそらく一瞬…たぶん一瞬だったはず…

 

いい方向に考えれば一瞬でも気を失えてラッキーですよ。

そもそもすぐ終わる検査なのに、更に少しだけタイムリープ出来たのだから。

 

 

これから卵管造影を受けようとしている方に伝えたいことはひとつです。

痛いのは一瞬だけ!なので恐れることはないです。

 

全然、まったくもって説得力ないなぁ…